(土井勉:一般社団法人グローカル交流推進機構 理事長)
4.1上下分離スタート、安堵感と緊張感と
「これ以上、民間会社では鉄道を存続することは無理」という、いわばギブアップ宣言を近江鉄道株式会社が発出したのは2016年だった。以後、2024年までの8年間、様々な取り組みや試行錯誤を重ねてきた。
当初は、鉄道会社と行政とが円滑にコミュニケーションを進めるということさえ難しい状況であった。だが、様々なやりとりを通じて次第にワンチームになっていき、2024年4月1日、上下分離による公有民営方式で新たな鉄道がスタートすることになった。
4月6日には「新生近江鉄道出発式」が開かれ、斉藤鉄夫国土交通大臣ら多くの来賓のほか、三日月大造滋賀県知事、沿線市町の首長、飯田則昭近江鉄道社長らが出席した。
「ここまで来ることができて本当に良かった」「本番はこれからだ」
参加者の表情からは、安堵感と緊張感とが合わさったような心境が見てとれた。