(土井勉:一般社団法人グローカル交流推進機構 理事長)
人々が集う近江鉄道線の駅
1.沿線住民が支える近江鉄道線
当たり前のことであるが、鉄道と駅は切り離すことができない関係にある。そして、これも当たり前のことであるが、駅は人々が集散する場であり、人々の様々な活動の結節点になることが少なくない。駅を単なる通過点とだけ考えると大きな可能性を見落とす恐れがある。
近江鉄道線においても、鉄道の利用だけでなく、複数の駅で駅舎を活用した地域活動などが行われている。例えば日野駅では、地域で活動する団体により古い木造駅舎がリニューアルされ、「観光案内交流施設なないろ」という名の場が設けられた。楽しくくつろげるコミュニティスペースが、地域団体によって運営されている(写真₋1)。
また、近江鉄道株式会社においても、2019年度から近江鉄道と地域の人たちが協働して「近江鉄道みらいファクトリー」という活動が展開されている(図-1)。ここでは、各駅舎の清掃・美化や鉄道沿線を巡るツアーの開催など、近江鉄道線のファンづくりのための様々な活動が継続的に行われている。