八日市駅で行き交う近江鉄道の車両(筆者撮影)八日市駅で行き交う近江鉄道の車両(筆者撮影)
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(土井勉:一般社団法人グローカル交流推進機構 理事長)

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知事発言で議論は“ふりだし”へ

1.第1回法定協議会であったこと

「最初の関門は、鉄道として維持存続するべきかどうか、このことの合意を我々が持てるかどうか、鉄道としてこの線を残すということの、この合意を得られるかどうかだと考えている」

 2019年11月、やっと開催することができた、第1回法定協議会1)(近江鉄道沿線地域公共交通再生協議会)。その冒頭で、三日月大造知事からはこんな発言があった。

 法定協議会の開催までに取り組んできた任意協議会(筆者はこの協議会の座長でした)において、滋賀県ならびに沿線5市5町の間では、近江鉄道線存続についての合意がすでにできていたと、私は考えていた。

 だから、知事のこの発言は、これまでの検討で積み上げてきたものを崩すものだと感じた。これまでの議論と時間は一体何だったのかと、かなりがっかりした。

 しかし、法定協議会の会長である滋賀県知事の発言は、重いものがある。そのため、「最初の関門」と知事が位置付けた「鉄道として維持存続すべきか否か」について、議論の材料を揃える必要が生じることになった。

 また、第1回法定協議会においては、近江鉄道の収支構造を共有したことも特筆すべきことだ。2018年度は営業費用が15.1億円。それに対して、運輸収入など営業収入は11.3億円であり、3.8億円の赤字との結果だった。さらに施設維持更新費などの費用の増加により、赤字幅が増加していることも共有された。

 地方ローカル鉄道の存廃問題を考える際に、こうした収支の基礎的な情報をしっかりと把握しておくことは重要なことだと言える。

米原駅に停車する近江鉄道の車両米原駅に停車する近江鉄道の車両
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