米原駅に停車する近江鉄道の車両。2024年、新たなステージに突入する米原駅に停車する近江鉄道の車両。2024年、新たなステージに突入する
拡大画像表示

(土井勉:一般社団法人グローカル交流推進機構 理事長)

>>>近江鉄道線「血風録」シリーズの過去記事はこちら

>>>近江鉄道・ローカル線のギャラリーページへ(17枚)

近江鉄道、そしてローカル鉄道にとって重要な2024年

1.ローカル鉄道の存廃めぐる節目の1年がスタート

 2024年は、ローカル鉄道の再生や廃止をめぐる動きがいよいよ本格化しそうだ。

 国土交通省は、2023年度を「地域公共交通再構築元年」と位置づけ、2023年10月には改正地域交通法が全面施行された。

◎参考:【近江鉄道線血風録③】ローカル線危機、ななつ星デザイナーによる異例のイラストに見た国交省の本気

国交省HP「改正地域交通法が10月1日より全面施行されます」

 この法改正を踏まえ、例えばJR西日本は2023年秋、芸備線(岡山県、広島県)の一部について再構築協議会の設置を国に要請した。こうした具体的な動きが、今後ますます増えてきそうだ。

 地域の足をめぐる議論は、今後どうなっていくのか。どう進められるべきなのか。

山あいを抜けるローカル線の線路。果たしてどこへたどり着く?山あいを抜けるローカル線の線路。果たしてどこへたどり着く?
拡大画像表示

 そこでモデルとなりうるのが近江鉄道線だ。ローカル線問題に取り組む方々にとってのヒントになればとの思いで、2023年7月より本連載「近江鉄道線血風録」を書き進めてきた。

 近江鉄道線自身も2024年4月、いよいよ「上下分離」の経営形態に移行し、新たなチャレンジの段階に入る。

 この重要な年の初めに、改めて近江鉄道線再生に向けた歩みを振り返りつつ、今後を展望していきたい。

土井 勉(どい・つとむ)
一般社団法人グローカル交流推進機構(GLeX)理事長。1950年京都市生まれ。名古屋大学大学院工学研究科修了。京都市、阪急電鉄、神戸国際大学経済学部教授、京都大学大学院工学研究科・医学研究科安寧の都市ユニット特定教授、大阪大学COデザインセンター特任教授を経て現職。京都大学より博士(工学)、技術士(建設部門)。専門は「総合交通政策とまちづくり」。著作に「人口減少時代の公共交通」(日本経済新聞:やさしい経済学,全8回連載,2018年)、クロスセクター効果に関する研究論文など多数。交通政策やまちづくりに関し多くの行政委員などを歴任。「近江鉄道沿線地域公共交通再生協議会」では活性化分科会座長を務める。