【近江鉄道線「血風録」シリーズはこちらから】
◎地域鉄道の96%が赤字…コロナ後のローカル線にいったい何が起きているのか?
◎鉄道事業はまるで“鈍重な牛” 激変期のローカル線「存続」の打ち手はこの2つ
◎ローカル線危機、ななつ星デザイナーによる異例のイラストに見た国交省の本気
◎まるでアニメな駅舎、懐かしの硬券…味わいある近江鉄道が迎えた存続の危機
◎ローカル線・近江鉄道、22期連続赤字の末に挙げた白旗…そして沿線自治体は?
(土井勉:一般社団法人グローカル交流推進機構 理事長)
険阻な3年間
これ以上の鉄道存続はもう難しい――。
近江鉄道が「民間企業の経営努力による事業継続は困難」との“ギブアップ宣言”をしたのは2016年6月だった。そこから、滋賀県・沿線10市町・近江鉄道の各者が存続についての方向感を共有し、活性化再生法に基づく「法定協議会」を設置するに至ったのは2019年11月。この3年間の議論は、決して平坦な道ではなかった。
この足跡を、主に滋賀県で公開されている様々な会議の議事録と会議資料1)に基づいて紹介をしたい。
ローカル線問題を抱えている関係者の方々にとっても、近江鉄道線のこの3年間のプロセスはきっと参考になることが多いだろう。そんな思いから、今回から3回にわたり、その足跡を丁寧に紹介していきたい。