「あかね号」の愛称で親しまれた近江鉄道の700形車両。存廃をめぐる議論の最中にあった2019年、惜しまれながら引退した(写真:共同通信社)「あかね号」の愛称で親しまれた近江鉄道の700形車両。存廃をめぐる議論の最中にあった2019年、惜しまれながら引退した(写真:共同通信社)
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(土井勉:一般社団法人グローカル交流推進機構 理事長)

険阻な3年間

 これ以上の鉄道存続はもう難しい――。

 近江鉄道が「民間企業の経営努力による事業継続は困難」との“ギブアップ宣言”をしたのは2016年6月だった。そこから、滋賀県・沿線10市町・近江鉄道の各者が存続についての方向感を共有し、活性化再生法に基づく「法定協議会」を設置するに至ったのは2019年11月。この3年間の議論は、決して平坦な道ではなかった。

 この足跡を、主に滋賀県で公開されている様々な会議の議事録と会議資料1)に基づいて紹介をしたい。

 ローカル線問題を抱えている関係者の方々にとっても、近江鉄道線のこの3年間のプロセスはきっと参考になることが多いだろう。そんな思いから、今回から3回にわたり、その足跡を丁寧に紹介していきたい。