嘆いていても前進はない
近江鉄道本線の沿線自治体は10市町もある。それぞれが個別に対応策を考え、実施できるような類の話ではない。
電車の車庫は、本社がある彦根にある。この彦根市と、路線北端の米原市を除き、残り8市町は南側に続く。つまり、沿線途中の市町で廃線してしまうと、その先には電車がたどり着けないことになってしまう。
いわば、10市町は一蓮托生の運命にある。
そこで、滋賀県が中心になって近江鉄道線の現状についての理解を深め、対応策を考えるための取り組みが始まった。ギブアップ宣言から半年後、2017年1月から始まった「近江鉄道に関する勉強会」だ。
行政の担当者には鉄道経営の経験がない。そのためこの勉強会の目的は、近江鉄道の企業としての実績などについて理解を深め、対応策を考えることに主眼が置かれた。
この蓄積をもとに、ローカル線再生のための公式ステップである任意協議会(2018年12月設置)、そして法定協議会(2019年11月設置)へと進んでいった。