設定されたタイムリミット
2. 平坦ではない道筋…任意協議会のスタート
任意協議会は、地域公共交通活性化再生法に基づく法定協議会を設置するために、前段の課題整理と認識の共有を図る位置づけのものだ。
一方で法定協議会とは「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づいて設置されるものであり、この協議会で策定される「地域公共交通計画」は、対象のローカル線の今後のあり方を定めるものとなる。
さて、近江鉄道の場合、やはり滋賀県が中心となり「近江鉄道線地域公共交通再生協議会設置準備調整会議」(後に、近江鉄道線活性化再生協議会と改称)という名称で任意協議会が始まった。法定協議会の前段となる任意協議会で期限を決めて意見をぶつけ合うことができたのは大きな意味があった。
構成メンバーは県と市町の課長級職員、近江鉄道担当役員、学識経験者、一般財団法人地域公共交通総合研究所(以下、地公研と略す)の副理事長となっている。地公研は、県から近江鉄道線に関する現状分析・今後のあり方についてとりまとめを受託した組織である。
第1回任意協議会の冒頭、会長である滋賀県の管理監は協議会設置の狙いについて次のように語った。
「2018年度に滋賀県が一般財団法人地域公共交通総合研究所に調査の委託をしている内容を議論の素材としながら、将来の近江鉄道線の基本的な方向を明らかにし、2019年度中に法定協議会へ移行することを目的としている」
「地域公共交通ネットワークの維持確保はもとより、20年、30年先を見て幅広い議論をしたい」
「現行の鉄道軌道安全輸送設備等整備事業(安全運行にかかる国の補助事業)が2021年度までなので、そのことも念頭に置いて議論をすることになる」
すなわち、任意協議会での議論は県の委託調査の内容をベースとし、2019年度の法定協議会発足を見据えて主な論点を整理することがミッションであると明言された。
協議会の冒頭に時限を定めて議論を進める方法は、参加者の主体的な意識を高めるうえで効果があったように感じる。
ここで議論の素材となった地公研の調査内容については、次回に詳述したい。