【近江鉄道線「血風録」シリーズはこちらから】
◎地域鉄道の96%が赤字…コロナ後のローカル線にいったい何が起きているのか?
◎鉄道事業はまるで“鈍重な牛” 激変期のローカル線「存続」の打ち手はこの2つ
◎ローカル線危機、ななつ星デザイナーによる異例のイラストに見た国交省の本気
◎まるでアニメな駅舎、懐かしの硬券…味わいある近江鉄道が迎えた存続の危機
(土井勉:一般社団法人グローカル交流推進機構 理事長)
乗客急減→微増…実はわずかに増えていた乗客
1.近江鉄道線の輸送人員の変化と収益構造
図-1は近江鉄道線の輸送人員の推移である。
最も輸送人員が多かった1967年度の1126万人から急激に右下がりの状況となっていることがわかる。最も少ない2002年度にはピーク時の1/3程度の輸送人員となった。
しかし、ここから反転攻勢というほどの勢いはないにしても、増加に転じていることにも注意が必要だ。2019年度は2002年度に比べて100万人以上も輸送人員が増えている。
近江鉄道線の沿線市町も近年は人口が伸び止まり、あるいは減少に転じている。さらにモータリゼーションの進行の影響も大きく受けている。だから、鉄道の輸送人員は減少していると思い込み、この増加について意外に気づかない人たちも少なくない。
各地のローカル線や路線バスなどでも、コロナ禍の前の2019年度頃までの輸送人員を詳しく見ていくと、増加(もちろん微増のことが多い)している場合が少なくない。ローカル線は沿線の人口も減少しているし、モータリゼーションの影響が大きいので、輸送人員もひたすら減少している、と思いがちであるが、減少傾向が止まっている場合も少なくない。
近江鉄道の増加の背景については、稿を改めて、次回以降の連載で述べたい。