NISAは貯蓄から投資、そして貯蓄からの逃避を強烈に後押しした(写真:西村尚己/アフロ)NISAは貯蓄から投資、そして貯蓄からの逃避を強烈に後押しした(写真:西村尚己/アフロ)

 日銀が発表した2024年10~12月期の資金循環統計によれば、家計の金融資産に占める外貨性資産が増加、過去最高の残高を更新した。円安に伴うインフレに直面する中、家計の金融資産はどのように変化しているのだろうか。(唐鎌 大輔:みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト)

外貨建て資産は過去最高比率に

 3月21日、日銀が発表した2024年10〜12月期の資金循環統計(速報)によると、2024年12月末時点の家計の金融資産残高は2230.3兆円と過去最高を記録した(図表①)。

【図表①】

 今回特筆されたのは外貨性資産の膨らみであり、前期の98.6兆円から+10%以上増加し、今期は108.8兆円と残高として過去最高を更新している。ドル/円相場は9月末の143円付近から12月末の157円付近まで+10%弱上昇しているため、円安効果を多分に反映した動きと推測される。

 家計金融資産に占める比率で見ても前期の4.5%から今期は4.9%と+0.4%ポイントも上昇しており、これも過去最高である(図表②)。

【図表②】

 四半世紀前となる1999年12月末時点で外貨性資産は12.5兆円、全体に占める比率はわずか0.9%だったので、残高にして9倍弱、比率にして5倍以上に膨らんだことになる。

 では、家計金融資産において、その代わりに残高および比率を落としたのは何か。最も目立つのは円の現預金であり、残高こそ748.1兆円から1126.9兆円へ増加しているものの、全体に占める比率は53.4%から50.5%へ3%ポイント弱も低下している。

 次に比率を落としているのが国債等で、残高では51.6兆円から31.8兆円へと減少した。全体に占める比率でも3.7%から1.4%へ半減以下である。