
~ 中小企業の今とこれからを描く ~
日本政策金融公庫総合研究所では、中小企業の今とこれからの姿をさまざまな角度から追うことで、社会の課題解決の手がかりを得ようとしています。最新の調査結果を、当研究所の研究員が交代で紹介していきます。
今回は前回に引き続き、スポーツによる地域振興を考えます。
(桑本香梨・笠原千尋:日本政策金融公庫総合研究所)
>>>北広島の「どん北」は、なぜこんなにも地元で愛されるのか?地域を盛り上げるスポーツの力 から続く
3地域の事例に共通する三つのポイント
前回は、スポーツを地域活性化に生かしている広島県北広島町、福島県相馬市、新潟県村上市の3地域を紹介した。これらの地域の取り組みには、①あるものを生かす、②誰もが参加できるようにする、③スポーツの枠を越えるという三つの共通するポイントがみられる。詳しくみていきたい。
スポーツを地域の活性化につなげるポイント
① あるものを生かす
② 誰もが参加できるようにする
③ スポーツの枠を越える
①あるものを生かす
地域固有の資源や産業構造がなくとも行うことができるのがスポーツの利点である。とはいえ、スポーツを地方創生の柱にするためには、一定の資金や設備、人手を伴う。効率よく行える仕組みづくりが、継続のためには欠かせない。
◎広島県北広島町
ソフトテニスクラブ「どん北」を誘致した北広島町は、町が所有する豊平総合運動公園をホームコートとしてチームに提供した。6面あるコートのうち2面を、半額で利用できるようにしている。
選手の住居には、空いている町営住宅を充てた。それだけではなく、地元企業や町内の施設に協力を要請して選手の職場も確保し、選手が自由に使える生活費を得られるようにした。
◎福島県相馬市
相馬市が毎年夏に開催する「ビーチフェスタ」は、その規模に対してかかる費用は少ない。
例えば、大会の企画や備品の手配、対外交渉、当日の運営は、地元の大学生が授業の一環として行う。大学生にとっては、貴重な学びの機会になる。
大会の景品は、市内の企業が自社商品を無償で提供する。2022年から協力しているアオサの加工会社では、1回に約10万円分の商品を提供している。地元の名産を知ってもらう機会になり、プラスの効果が大きいという。
◎新潟県村上市
5地区それぞれに総合型地域スポーツクラブ(以下、総合型SC)を設置する村上市では、市有のスポーツ施設の指定管理先に総合型SCを指定して委託料を支払うことで、各クラブの運営を支えている。
総合型SCも、地区間でスタッフや車両を融通することで、少ない資源のなかで住民の健康水準を高め、コミュニティを活性化するための工夫をしている。

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