取り組みを支える存在

 3地域の事例から、スポーツを地域活性化に生かすためのポイントをみてきた。こうした取り組みを継続するうえで、リーダー的存在の重要性は言うまでもない。加えて事例からは、大きく三つの「支え」もみられた。

 まずは、行政による支えである。北広島町は、チーム誘致のためにコートを整備したほか、町営住宅を提供した。ふるさと納税にもチーム向けの枠を設け、全国から活動資金を集めている。

 相馬市では、スポーツ合宿の手配を引き受ける観光協会が、民宿と連携して体験コンテンツを宣伝する。村上市は、各地区の総合型SCの運営を資金面でサポートするほか、地区報にクラブのイベント予定を掲載するなど、広報を担う。

 次に、地元企業による支えも欠かせない。北広島町では選手を雇用するほか、寄付をしてチームを支える。相馬市では、ビーチフェスタの景品を地元企業が無償で提供する。村上市では、企業の協賛金が、総合型SCの重要な経営財源となっていた。

 最後に、住民による支えである。北広島町では、住民が自主的に応援団を結成し、県外の試合にも駆けつける。練習後の夕飯を提供する飲食店や、育てたコメを提供する住民グループもある。相馬市や村上市では、住民が支払う参加費や利用料が、運営の財源になっている。 

浜焼き場では古くから伝わる串打ち体験ができる

次世代に引き継ぐ

 ただ、どの地域でも、支え手となる住民の多くは高齢である。地方の少子高齢化や過疎化は深刻になっており、地元企業でサポートに積極的だった社長の交代や、応援したり参加したりする住民の減少が危ぶまれる。

 各地域における取り組みを継続していくためには、若い世代の理解を促し、積極的に取り込んでいくことが求められる。