リーマン・ショック後の二の舞か。原油価格が急落するリスクがある(写真:AP/アフロ)

  石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの大産油国で構成するOPECプラスは6月4日、協調減産を2024年まで継続することを決定した。OPECプラスは昨年11月から世界の原油供給量の2%に当たる日量200万バレルの減産を実施している。さらに今年5月からOPECの主要加盟国が日量116万バレルの自主減産に踏み切っている。

  今回の決定で最もインパクトが大きかったのは、サウジアラビアが7月から日量100万バレルの追加減産を表明したことだ。

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 原油価格が下落傾向にあることから、会合直前になって「OPECプラスは日量100万バレル程度の追加減産を行うのではないか」との観測が流れた。だが結局、サウジ単独で追加減産を実施することになった。サウジの7月からの原油生産量は日量約900万バレルとなる。

 そもそもサウジのアブドルアジズ・エネルギー相は5月23日、「4月に痛い思いをしただろう。(追加減産に)気をつけろ」と述べていた。原油価格の下落で利益を得る「空売り」を仕掛ける投機筋に警告を発したのだ。

 実際、4月3日にOPECが自主減産を発表した際には、米WTI原油先物価格が大幅上昇し空売り勢が損失を被った。この苦い経験が投資家の間によみがえり、減産に対する警戒感がにわかに強まった。だが、これに水を差したのがロシアだった。どういうことか。