(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
米WTI原油先物価格は年初来安値圏で推移している(1バレル=70ドル台前半)。
5月4日の時間外取引で一時1バレル=63ドル台と1年5カ月ぶりの安値を付けた後、70ドル台に戻るという値動きの激しい展開となっている。週間ベースで見ると3週連続で下落しており、原油価格への下押し圧力が強まっている感が強い。
中国や米国の景気懸念に加え、ロシアからの原油輸出が予想外に堅調なため、供給過剰が意識されやすい構図となっている。
ロシア産原油をインドと中国が積極購入
まず供給サイドの動きを見てみたい。
OPECの主要加盟国は5月から自主的な追加減産に踏み切った。個別に見ると、サウジアラビアが日量50万バレル、イラクが21万バレル、アラブ首長国連邦(UAE)が14万バレル、クウエートが13万バレルそれぞれ減産する。トータルの減産量は世界の原油供給量の1%分に相当する116万バレルだ。