追加減産を発表したOPECプラス(写真:ロイター/アフロ)

(土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング・副主任研究員)

 4月2日、サウジアラビアなどの石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟の産油国からなるOPECプラスが声明を出した。5月から年末まで、世界の需要の約1%に相当する日量115万バレルの追加減産を行うという表明である。昨年11月から継続してきた日量200万バレルの減産と合わせて、世界の需要の3%に相当する減産が続くことになる。

 この日曜日の発表はサプライズ発表だったため、原油相場も大きな影響を受けた。

 代表的な国際指標であるブレント原油の先物価格は、それまで1バレル当たり70米ドル台後半で推移していたが、週明け4月3日の相場では一時85米ドル台に急騰。米シリコンバレー銀行の経営破たんに伴う金融不安を受けた原油価格の下落分を取り戻した形となった。

 OPECプラスが追加減産を発表した最大の理由は、世界の原油需要が低迷していることにある。特に、ゼロコロナ政策を撤廃した中国で、当初の想定よりも原油需要が増えなかったようだ。原油の需給が需要面から引き締まりそうもないため、供給面から引き締めようというのが、産油国に共通した偽らざる本音とみられる。

 ただ、今回の追加減産によって原油価格が上昇反転するかどうかは分からない。欧米のインフレは依然として強いため、欧米の中銀は金融不安を抱えながらも、金融引き締め姿勢を貫き、経済活動のクールダウンに努めている。

 加えて、いわゆる脱炭素化の進捗で、原油需要そのものが減った公算が大きい。

 中国でも省エネが進展し、再エネも普及したため、過去のような原油需要の伸びは期待しにくい。ここで産油国側が原油の供給を一段と絞り込もうとすれば、確かに短期的には価格が急騰するが、一段の省エネの進展や再エネの普及につながり、原油の需要をかえって構造的に減少させかねない。産油国が抱えるジレンマは深刻だ。

 ここで、話をサウジとロシアの関係に転じたい。