ロシア空軍にとって非常に厄介な存在となるF-16戦闘機(2020年3月17日撮影、米空軍のサイトより)

 ウクライナは、ロシアの侵攻当初から戦闘機と戦車を供与してほしいと再三訴えていた。米国はこの5月、NATO(北大西洋条約機構)加盟国が保有する「F-16」戦闘機の供与を容認した。

 しかし、パイロットの教育には約4か月が必要だという。

 ウクライナ軍はこれまで、ロシア軍機がウクライナの防空網が届かないところから空対地ミサイルを撃ち込んでくるのを止められずにいた。

 また、ロシア軍部隊の急所を掴んでいても、そこをタイムリーに攻撃ができないでいた。

 ウクライナは、今やっと戦車や歩兵戦闘車が供与されて、地上戦での反撃の態勢が整った。

 実際に、英国供与の長射程ミサイル「ストーム・シャドウ」は、両軍の接触線から離れた後方の重要拠点を狙って射撃し、成果を挙げつつある。

 さらにF-16の供与を受ければ、ウクライナはロシア空軍機、特に戦闘機からの攻撃を止めることができる。

 ロシア軍の後方にある重要施設を攻撃できる態勢がとれることになる。これこそが、F-16供与の価値だ。

 ただ、その機数については限られており、ロシア軍機の攻撃を完全に止められるほどのものではない。

 F-16が供与される場合、単機の戦闘機として何ができるのか。ウクライナが保有しているロシア製「MiG-29」ではできないことは何か。

 また、F-16の空中戦闘システムと空中戦の予想、軍全体ではどのような戦いが可能になるのか。

 これらについて考察する。