英国から供与された長射程ミサイル「ストーム・シャドウ」が早くも威力を見せつけている(写真は同ミサイルを装備した英国の戦闘機、2019年1月10日、英国空軍のサイトより)

 今、要衝バフムトでのウクライナ軍の戦いが変わっている。

 戦いの目的には、要域を占拠する、あるいは敵軍を殲滅するというものがある。

 バフムトでの戦いでは、ロシア軍はこれまでこの地を占拠するという狙いで戦っていた。

 一方、ウクライナ軍はロシア軍に攻撃を強いて、犠牲を払ってでも攻勢を続けさせる戦法を採っていた。

JBpress『ロシア軍バフムト攻勢は大敗北の予兆、クリミア奪還許す可能性大』(2023.3.8)参照

 ロシア軍は、戦果を強調するために、バフムトという要衝を占拠しようと、多くの犠牲を払ってでも攻撃を続行した。

 結局、5月9日の対独戦勝記念日までに、その目標は達成できなかった。

 一方、ウクライナ軍は要衝バフムトを守り切り、この地で後退してはロシア軍を引き込み、無謀に攻撃を繰り返すロシア軍の兵を多く殺傷した。

 ウクライナ軍の2つの目標は、十分に達成できた。

 その後、5月10日を前後して、これまでとは戦闘様相が変わってきた。

 ウクライナ軍の戦い方を見ていると、バフムトの奪還だけではなくバフムトで攻撃を続けるプリコジン氏が率いるワグネル部隊を、この地で包囲殲滅しようとしているようなのだ。