2.遠距離対地攻撃能力の飛躍的向上

 これまで1年以上、ウクライナ軍MiG-29からの対地攻撃は、極めて危険で困難であった。

 ミサイルの射程が短く、かつロシア軍機の空対空ミサイルに攻撃を受けるからだ。

 英国から、空中発射長距離巡航ミサイル「ストーム・シャドウ(SCALP-EG射程250キロ)」が供与されてからは、ウクライナ軍は両軍の接触線から200キロ以上離れた主に地上の固定目標を攻撃できるようになった。

 ただし、F-16が供与されないうちは、ミサイル発射を安全に掩護してくれる戦闘機はほとんどない態勢だ。

 対地攻撃能力(空対地ミサイル)について、MiG-29戦闘機であればJDAM(射程~二十数キロ)、F-16であればJASSM(360キロあるいはそれ以上)である。

ウMiG機・F-16機と露軍Su機の対地攻撃能力比較

 今まで、ウクライナ軍の戦闘機はロシア地上軍を攻撃できずに、ウクライナ軍の地上戦闘にほとんど寄与できていなかったということだ。

 F-16は、ウクライナ活動領域内から敵地内約300キロ以遠まで攻撃できる。

 ロシア軍が占領している要域やこの地での戦闘を支援するロシア領内の空軍基地、補給・整備のための後方支援拠点や短距離弾道ミサイルの基地も攻撃できる。

 それも、単発で攻撃するというのではなく、連続して多目標を攻撃できるようになるのだ。