5.米空中指揮情報システム内のF-16は強力

 F-16が戦闘する場合、どのような空中指揮システムの中で戦うことになるのか。

 ウクライナの周辺を飛行する米国の早期警戒管制機(AWACS)が、

①ロシア空軍機等の情報を収集し、

②ウクライナ軍F-16にリアルタイムで情報を提供する。

③④位置的に見て射撃可能なF-16が、空対空ミサイルをロシア軍機に向けて発射する。

空中指揮システムの中で戦うF-16

 空対空ミサイルの能力(射程など)が同じであれば、正確な情報をリアルタイムに伝え、これに基づいて、ミサイルを発射できる方が有利である。

⑤ロシア空軍の空中警戒管制機の情報収集能力や情報処理とその伝達は、米国のものよりも劣っているという情報が多い。

 ロシア軍電子戦能力が米欧に劣っていることは、これまでの戦い、特に空中戦で証明されてきた。

 このこともあり、F-16の空対空ミサイルは、十分にその効果を発揮するだろう。

 地上目標を攻撃する場合はどうだろうか。

 地上目標には、地上の固定基地等と砲兵部隊が集結しているような移動目標の2つがある。

 地上の目標情報は、友軍の地上部隊から統合作戦指揮所に集約される。

 時間が経過し、その場から離れるような移動目標で、緊急性が求められる情報であれば、戦闘機にリアルタイムに伝達される。

 かつて、米軍では「E-8 JSTAR」(ジョイントスター=対地版早期警戒管制機)内の機器に、地上部隊の情報(移動目標であっても)が詳細に集められ、対地攻撃の必要性があれば、その情報が戦闘機に流されていた。

 私は、1995~96年、米国ネリス空軍基地で実際に同機に立ち入り、数百の地上部隊目標情報を映した機器の説明を受けたことがある。

 この機がウクライナで飛行しているかどうか不明だが、その役割は現在、AWACS(早期警戒管制機)が担っているといわれている。

 空対空ミサイルや対地攻撃ミサイルは、敵機や敵地上部隊の動きをリアルタイムに取得し、緊急を要する目標に向けて、直ちにミサイルが発射できなければならない。

 F-16戦闘機が供与されれば、ウクライナ周辺を飛行する米軍の空中指揮システムに入って、効率的にその能力を発揮して戦闘することになる。