1.防空ミサイル射程外のロシア機を制限
ロシア軍の「Su(スホイ)」戦闘機および「Tu(ツポレフ)」爆撃機は現在、ウクライナ防空ミサイルの射程外から空対地ミサイルを発射している。
ウクライナ軍の「MiG」戦闘機も防空ミサイルもそれを阻止できないでいる。
ウクライナ軍は、ロシア軍機の接近を止め、その後のミサイル発射そのものも止めたい。
しかし、それらを防ぐ手段がなく、これまでは何もできないでいる。
つまり、ロシア軍戦闘機から発射されたミサイルを打ち落とす手段しかなく、戦闘機からのミサイル発射自体を止めることはできないのだ。
ロシア軍機はこれまで、ウクライナ軍の防空兵器の射程外から安全にミサイルを発射することができている。
ウクライナにとって、ロシア軍機のミサイル攻撃を制限できるのは、対地ミサイルの保有数だけだ。
では、F-16が供与されると、ロシア軍戦闘機に対してはどうなるのか。
F-16に搭載される空対空ミサイルには、「AIM-120 AMRAAM(アムラーム)」のA/B(射程:50キロ)、C(105キロ)、D(160-180キロ)がある。
Dタイプを搭載すれば、160キロ離隔した空中目標に対して攻撃することができる。
ロシアの「Su-30・34・35」戦闘機が保有する空対空ミサイル「R-77(アムラームスキー)」の射程は、120~190キロである。
単機の戦いでは、F-16とほぼ互角の空中戦闘ができると予想される。
F-16供与後のウクライナ機と露機の空中戦能力イメージ
(図が正しく表示されない場合にはオリジナルサイトでお読みください)
これまでは、ウクライナのMiG-29はロシアのこれらの戦闘機に発見されないように飛行して、地上攻撃を行っていただけで、ロシアの戦闘機を攻撃することはほぼ不可能であった。
ウクライナにF-16戦闘機が供与されれば、ロシアの戦闘機はF-16が搭載する空対空ミサイルに撃墜されないように飛行しなければならなくなる。
これからは、ロシア軍機はF-16から攻撃されないような行動を取らざるを得なくなる。
ロシア爆撃機と戦闘機の予想攻撃の位置イメージ