(朝比奈 一郎:青山社中筆頭代表・CEO)

 2月末に厚生労働省から発表された数字はまさに衝撃でした。

 同省の人口動態統計速報によると、2022年の出生数は前年比5.1%減の79万9728人ということでした。80万人を割り込むのは明治32年に統計を開始してから初めての事態。しかも国立社会保障・人口問題研究所が2017年に発表した「日本の将来推計人口」では、出生数が80万人を割るのは2033年とされてきました。それよりも11年も早く「80万人割れ」のタイミングがやってきてしまったのです。

「少子化が進んでいる、対策を」と長年叫ばれてきましたが、いよいよ日本は最悪の事態に直面することになったと言えるでしょう。

 ここで少し、2000年代に入ってからの合計特殊出生率の推移を見てみましょう。実は、一見、好転しているように見えた時期もありました。

100万人割れからわずか6年で80万人割れ

 まず2005年に合計特殊出生率が1.26という過去最低の数字を記録しました。2003年に1.29となって1.3を割っていたのですが、2004年も1.29をキープ。そこからなんとか1.3に戻したいところだったのですが、2005年にはいきなり0.03ポイントも下がって1.26になってしまったのです。当時「これはマズイ」という危機感が社会に走りました。

 ところがこの1.26を底として、2006年には1.32にアップ、以後、およそ10年にわたって出生率は上昇してくことになりました。

 そして2015年にはついに1.45に。出生率が上昇していることで社会には妙な安心感すら漂い始めていましたが、私は当時から「このままではマズイ」と言っていました。というのも出生率の上昇にはあるカラクリがあったからです。