お見合いパーティー開催や結婚奨励策も

 それから地方自治体で取り組んでいるところもありますが、男女が出会える「お見合いパーティー」的なイベントを企画したり、マッチングアプリを活用した結婚を奨励したりするような策も必要でしょう。データから明らかですが、70年代くらいを境目に激減しているのは、恋愛結婚ではなく見合い結婚の数です。かつては、仲人さんがいて、お見合いを経て結婚するケースが恋愛結婚以上に多かったわけですが、昨今は、ほぼ消滅してしまっています。

 また出産一時金や教育の無償化、給食の無償化といった経済的なインセンティブももちろん、大幅に充実させたほうがいいでしょう。

 女性の働き方支援ももっと行うべきです。女性の正規雇用者数は、かつては「M字カーブを描いている」と言われていました。新卒でどっと正社員として就職するが、すぐに結婚・出産でその数が減る。それから徐々にまた職場に復帰する人が増える、ということで、Mの字を描くように人数が増減するからです。

 ところが現在は「L字カーブ」と言われています。Lといっても、これを時計回りの方向に倒したかたちです。新卒時にはやはりどっと正社員として雇用されるけれど、結婚や出産で職場を離れると、その後は正社員としての復帰が難しく、正社員の数は右肩下がりで減っていくからです。これではやはり女性が安心して結婚・出産できません。一度仕事を離れた女性でも、育児が落ち着いたらまた社員として活躍できるような制度を整えなければなりません。

 離婚後の「共同親権」も認めるべきでしょう。いまや結婚したカップルのうち、3割は後に離婚するという時代です。子どもがいる夫婦が離婚した場合、現在は母親が親権を持つケースが多くなっていますが、母子家庭の平均年収は300万円台になっています。離婚した父親から子供の養育費が支払われていないと生活は厳しい状況なのですが、親権がない男性は、どうしても責任意識をもちにくく、養育費を払わない場合もかなりあります。そういう現実が見えていると、女性は結婚や出産に慎重にならざるを得ません。

 共同親権が認められれば、離れて暮らすようになった父親も、親権を持つだけに、責任感と自覚をもって養育費を払うようになることが期待できます。

 また子育てしやすいように、地域全体で子どもを育てるような仕組み作りも必要でしょう。岡山県の奈義町は2019年に出生率2.95を記録したことで「奇跡の町」と呼ばれていますが、ここは地域の子育て支援施設が地域ぐるみの子育てに重要な役割を果たしています。福井県を筆頭に北陸も出生率が高いのですが、これは北陸では3世代同居の家庭が珍しくなく、父母・祖父祖母での子育てが普通のことになっていることが理由の一つになっています。このように、地域全体、家族全体で子どもを大事に育てられるような仕組み作りも進める必要があると思います。