今年5月にはリトアニアと台湾最大のスタートアップ村の間で覚書が締結された。台湾の代表団もリトアニアの最先端テックパークを訪れた。台湾はまた、欧州連合(EU)と半導体分野で貿易と協力を促進させるためプラットフォームを立ち上げることで合意した。海に囲まれる台湾は欧州と協力し、温暖化対策のため洋上風力発電の開発を進めたい考えだ。
台湾が欧州に代表機関を置くのは2003年のスロバキアに続き18年ぶり。当然ながら、台湾ではリトアニアに対する関心が急速に高まった。
しかし「駐リトアニア台湾代表処」と「台湾」の名称を使ったことで、リトアニアは「一つの中国」を掲げる中国の逆鱗に触れた。リトアニアと中国の関係が悪化したのは2019年2月、リトアニア国家安全保障省が国家脅威評価報告書でロシアと並び初めて中国を「安全保障に有害な国」として取り上げたのが発端だ。
報告書の大半は長年にわたるロシアの脅威について割かれ「ロシアがリトアニア領空で無人偵察機を使用している。ベラルーシからも飛来してくる」と指摘。「モスクワがウクライナの国内情勢を不安定にし、西側同盟国や国際社会におけるキーウの信用を失墜させる機会を狙っている」とウクライナにおけるロシアのさらなる軍事行動への懸念も表明していた。
港湾利権を中国に握られ、ロシアと連携されれば命取り
そのロシアに続き、中国についても「安全保障に有害」と断罪した。
同報告書は中国の脅威をこう指摘している。
「西側諸国における経済的・政治的野心の高まりは他の北大西洋条約機構(NATO)やEU加盟国だけでなく、リトアニアでも中国の情報・治安機関の活動をますます活発にしている。国家安全部と人民解放軍の軍事情報部の2つが活動している。わが国における彼らの活動は長期的に拡大していく恐れがある」