宇宙探査は「一寸先は闇」

 第2回着陸では、第1回を上回る量の噴出物が出たようだ。「(探査機の試料を納める部屋の)ふたが閉まるかなと心配になるほど。どっさり入っているだろう」(佐伯プロジェクトエンジニア)。

 着陸時の映像から、1回目の着陸時に巻き上がった砂礫とは異なっている様子も見受けられ、均一に見えたリュウグウ表面が、実にバラエティに富んでいる可能性もある。科学者でなくても、2020年末のはやぶさ2の地球帰還が待ち遠しいところだ。

 2019年末にはやぶさ2はリュウグウを出発し、地球への帰還の途につく予定。現時点では何も問題はないというが、「不安材料はありますか?」とあえて聞くと「いっぱいありますよ」と津田プロマネ。

「探査機の運用はいつも、『一寸先は闇』みたいなところがある。これから帰還のためにイオンエンジンを点火します。軌道制御もうまくいかないといけない。どちらもこの1年半ぐらいやっていないことで、一つひとつ淡々とやっていくしかない。否定する材料はひとつもない。自信はあります」

 はやぶさ2は太陽系の歴史のかけらを手に入れた。それは人類共有の財産だ。はやぶさ2チームが成し遂げた科学的・技術的成果は、未来へ繋げていかなければならない。

 JAXAは今後10年以内に、水星から木星まで日本の探査機が並ぶ「深宇宙探査船団」の完全配置を目標に掲げる。さらに遠くへ、未だ見ぬ地へ。その手を伸ばし、触れようとしている。

深宇宙探査船団のひとつ、火星の衛星からのサンプルリターンを目指すMMX(火星衛星探査計画)イメージ図。(提供:JAXA)