「はやぶさ2にあと1回、リュウグウを触らせてあげましょう。よろしくお願いします」
7月10日朝9時過ぎ、小惑星探査機はやぶさ2津田雄一プロジェクトマネジャーは運用チームにいつものように穏やかに声をかける。その後、11時1分、運用チームははやぶさ2がリュウグウの高度20kmから降下を開始したことを確認した。
約3カ月間にもわたる慎重な議論、膨大なシミュレーションを経て、ついにはやぶさ2は、2回目の着陸に挑む。成功すればふたつの史上初を達成することになる。史上初のマルチサンプリング(ひとつの天体の複数地点から試料を採ること)、さらに史上初の地下サンプリング(人工クレーターから噴出した物質を採ること)だ。
着陸予定時刻は7月11日(本日!)午前10時18分ごろ(地上時間)。最大で約40分遅れる可能性がある。
期待とリスクの狭間で
はやぶさ2はこれまで何度も「史上初」や「前人未到」を達成してきた。だから読者の皆さんはもう、驚かないかもしれない。しかし、今回は過去のイベントとは重みが違う。なぜならはやぶさ2は今、お宝を抱え、その資産価値が上がっているからだ。