第1回の着陸が半径3m弱の地域を目的としたのに比べれば、今回は少し広い。さらに、着陸時の目印となるターゲットマーカーを目標地点から約2.6mという極めて近い場所に落下させることに成功した(第1回は目標地点から15m)。そしてリュウグウ表面の凸凹具合は「前回と変わらないが、厳しくはない」(津田雄一プロマネ)。最大で高さ65cmの岩があるが、探査機には影響しないと考えられる。
ただし、懸念材料がある。それは第1回の着陸時に舞い上がった噴出物が装置に付着したことによって、カメラや高度計の受光量が落ちてしまったことだ。だが、そこは運用の仕方でカバーできると判断。第1回着陸とは着陸手順を変えた。
最も大きな違いは、ターゲットマーカーを捉える高度。前回は高度45mだったが今回は高度30mと下げた。高度を下げることで視野が3分の2になってしまう。高度30mでちゃんとターゲットマーカーを捉えられるかどうかが、最初にして最大の難関だ。
ターゲットマーカーを捉えた後は高度8.5mまで降下するが、その途中で高度計を切り替えられるか、高度8.5mに到達した後は、地形の傾きに合わせながら姿勢を変えつつ、着陸目標地点上空まで移動できるか、などが関門となる。
安全に対しては、第1回と同等以上に設計されている。少しでも危険を察知したり想定外のことがあれば、アボート(退避すること)を行う。アボートは失敗ではない。探査機が健全であることが何より大事であり、アボートすれば再挑戦できる。アボートの理由によっては、7月22日の週に再挑戦可能だ。
はやぶさ2が健全か、予定通りに着陸が進行したかどうかは、本日11時過ぎに判明することが期待される。着陸後に試料を採るための弾丸が発射されたかどうかは、14時の記者会見で明らかになる見込みだ。
NASAなら2回の着陸ミッションは通らない
2018年6月にリュウグウに到着後、岩だらけで「牙をむく」リュウグウにも負けず、史上初の成功を重ねてきたはやぶさ2。技術力・運用力は確実に進化していることが取材していて見て取れる。だが、6月11日に開かれた記者懇談会で、津田プロマネが記者たちにこんな投げかけをしたのが、強く印象に残っている。