当然、原始惑星でもプラチナはコアに濃縮していく。当時の太陽系は、多くの原始惑星や隕石が衝突を繰り返し、原始惑星が破壊されることも多かった。
こうして破壊された原始惑星のコアの部分の破片が、金属質のM型小惑星になった。隕鉄も原始惑星のコアの部分の破片の極小さいものが、地球に降ってきたものである。
NASA(米航空宇宙局)がM型小惑星プシケに探査機を送り込む予定であり、2022年打ち上げ、2026年到達予定である。近い将来、その姿は明らかになっていくだろう。
このM型小惑星は隕鉄のような組成であるので、地球の表面の2000倍の含有率でプラチナを含んでいるはずである。
この2000倍に濃縮されているはずのプラチナをM型小惑星で採掘するというのが、プラチナのスペースマイニングの構想である。
なお、はやぶさ1が破片を持ち帰ったイトカワは普通の隕石の巨大版であるS型小惑星、はやぶさ2が探査しているリュウグウは炭素や含水鉱物に富む岩石からなるC型小惑星である。双方ともプラチナの採掘の対象にはならない。
では実際に可能なのか
M型小惑星でプラチナを採掘するような、スペースマイニングを成功させるには、月より遠い場所にあるプラチナの採掘に適した小惑星を見つけ、プラチナを回収し、何らかの形で地球まで運んでくる必要がある。
金属質のM型小惑星は、隕鉄が巨大化したものすると、1トンあたり7~10グラムのプラチナが含まれることになる。
M型小惑星や隕鉄は、だいたい6~15%程度のニッケルを含む鉄であり、それそのものが有用金属の塊である。
実際、人類が最初に利用した鉄は隕鉄であったとも聞く(もっとも希少性から現在は産業的な資源としては用いられない)。M型小惑星は、丸ごと金属資源となり得る存在である。