隕石落下時、1万トンという重量のあるものが、地球との膨大な速度差を持ち、さらに地球に近づくと重力で加速され、秒速数十キロのスピードになる。
そうすると、核爆弾の破壊力に匹敵する運動エネルギーを持つことになる。そんなものをどうやって減速し、地球に軟着陸させるのか。
1万トンの隕石ですら核爆弾なみのエネルギーでなければ受け止められないのだ。100万トンものM型小惑星を現在の技術で地球に持ってくることなどということは、全くあり得ない。
では、金属質の小惑星から宇宙で高価なプラチナだけを取り出すことができるだろうか。
残念ながら、地球上の岩石の2万倍の濃さでプラチナが含まれているとはいえ、1トンのM型小惑星にプラチナは7~10グラムしか含まれない。
M型小惑星からプラチナを取り出し、プラチナのみ地球に持ち帰るのであれば、金属の精錬工場のようなものを宇宙に作る必要がある。
リュウグウやイトカワといった地球近傍小惑星でも月より遠く、小惑星の大多数が存在するのは火星と木星の間である。
月よりも遠い場所、場合によっては火星より遠い場所に何万トンもの金属を処理できる宇宙工場を作るのだ。
火星の有人探査すら実現していない現状、そんなのSFの世界でしかない。そうしたことが実現できるのは、22世紀か、23世紀か、もっと先であろうか。
恐らく、スペースマイニングという発想は、“宇宙は地球と比べプラチナが豊富である”ということを、“宇宙にプラチナの塊が存在する”と短絡して思いついたのだろう。