しかし、イオンロケットは、長期間の加速を続けることで高速に達するエンジンであり、非力である。

 NASAは有人火星探査などに用いるため、核熱推進ロケットの開発を行う。核熱推進とは、原子炉で過熱した水素を後方に噴射することで、推力を得るエンジンである。

 化学反応を利用したロケットより効率が良いが、原子炉の一次冷却材を放出するようなものなので、宇宙限定での使用となる。

 原理的には、現在の技術でもなんとかなりそうであるが、運転すると大量の放射能が放出されるものであり、開発を進めるうえでの課題は多いだろう。それでも、ひょっとしたら、生きている間に実用化を見ることができるかもしれない。

 現在、実現のメドは全くないが、さらなる強力なロケットもいくつか構想されている。核パルスロケット、星間ラムジェット、光子ロケットなどである。

 これらは、核融合エンジンや反物質(加速機で作る実験がされているし、β+崩壊をする放射性物質から出てくる陽電子も反物質である)を燃料とすることが前提となっているなど、実現性は全く見えていないものである。

 現在、存在すら予想されていない技術も含め、化学反応を利用するロケットを圧倒的にしのぐ効率のロケットが生まれれば、スペースマイニングの現実性も再検討される日も来るかもしれない。