なぜプラチナのスペースマイニングなのか

 宇宙のプラチナが注目される理由は、地球の石より宇宙の石の方がプラチナなどの白金族元素の含有率が濃いからである。

 大地のプラチナの平均含有率は0.0005ppm。2000トンに1グラムほどである。

 一方、最も多く存在する普通の隕石(普通コンドライト)には、プラチナが1ppm程度含まれる。隕石1トンに1グラムほどとなる。

 さらに、隕鉄とよばれる鉄質隕石では、7~10ppm、1トンあたり7~10グラムにも達するプラチナが含まれる。

写真2 ウィラメット隕石 鉄質隕石(隕鉄)であり、成分は鉄とニッケル。地球の岩石ではppbにも達しない白金族元素を、ppm単位で含んでいる。

 隕鉄のプラチナ品位は、南アフリカやロシアの地球上で最良のプラチナ鉱山で採掘される鉱石に匹敵する。

 余談だが、隕石に含まれる白金族元素は、恐竜絶滅が隕石によることの証拠とされた。

 恐竜が絶滅した白亜紀末と古第三紀の地層の間の地層には、隕石に含まれていた白金族元素イリジウムが他の地層よりも豊富に含まれる(とはいえ、200トンに1グラムとかいう濃度)。

 ここで、地球も元々は隕石が集まってできたのではないかという疑問を感じられる方もいよう。

 それはそのとおりで、はるか昔は地球にも宇宙と同レベルのプラチナがあった。混乱させて申し訳ないが、地球全体で見れば現在でもプラチナの含有率は宇宙と同じである。

 しかし、現実的に採掘が可能な地表に近い部分では、先ほど紹介したとおり0.0005ppm、2000トンに1グラムしかプラチナは含まれない。