「米国公式訪問」が取り沙汰される理由と立ちはだかるハードル

 山下氏が令和8年の最大のトピックとして挙げるのが、両陛下の外国公式訪問だという。

 令和7年にはモンゴルを公式訪問され、友好親善を重ねるとともに、慰霊と平和への願いがにじむ日程が組まれた。

スフバートル広場で歓迎式典に臨まれる天皇、皇后両陛下とモンゴルのフレルスフ大統領夫妻(2025年7月8日、ウランバートル/写真:代表撮影・共同通信社)

 外国公式訪問は「国際親善」だけでなく、「国内にどう伝わるか」も含めて設計される。訪問国の選択は、どんなメッセージを発するのか、歴史的な節目や外交上のタイミングは合っているのかなど、複数の観点の整合性が求められる。

 山下氏は「毎年必ず外国を訪問しなければならないというわけではない」と前置きしながらも、「あるならどこか」を予測するのは難しいと語る。そのうえで、次の訪問国として「平成の前例を見れば、アメリカ、となるんですがね……」と見立てた。

「平成時代、上皇上皇后両陛下は、東南アジア、中国、ヨーロッパを経て、4回目の外国公式訪問としてアメリカを国賓として訪問されました。天皇皇后両陛下も、インドネシア、イギリス、モンゴルと、上皇上皇后両陛下と似た順番になっています。この前例に沿えば、次はアメリカ、という見方もできます」(山下氏)

 また、トランプ米大統領は2019年5月に国賓として来日して以来、両陛下に深い敬意と好意を抱いていると言われている。昨年10月に来日した際も、到着後すぐに皇居を訪れ、天皇陛下と懇談し、実に嬉しそうであった。こうした点を踏まえると、米国訪問という線も確かに考えられる。

皇居・御所でトランプ米大統領と会見される天皇陛下(2025年10月27日、写真:ロイター=共同通信社)

「訪米されるとなれば、皇后陛下のご体調を考慮し、1週間程度の日程で、ワシントンからボストン、ロサンゼルス、ホノルルというコースが考えられます。ボストンには皇后陛下の母校のハーバード大学がありますし、ロサンゼルスは日系人が多い。時差調整でホノルルに寄られると、天皇として初めて真珠湾を訪問されるかもしれません」(山下氏)

 晩さん会が開かれれば、大谷翔平選手や八村塁選手が招かれるかもしれない──そんな想像も浮かぶ。

 ただ筆者は、そこまでの展開は現実的ではないとみている。というのも、今年秋にも米国が中国の習近平国家主席を、国賓として招く予定だとの報道があるためだ。

 仮に中国側の国賓級行事と同じ年に、日本の天皇皇后両陛下の訪米を組めば、順序や形式を巡って余計な摩擦を生む可能性がある。日中関係が微妙な時期であればなおさらだ。米政府もその点は理解しているはずで、そうした観点から考えると、両陛下への招待がすぐに実現する可能性は高くない──というのが筆者の見立てである。