三笠宮家の当主となられる彬子さま(写真:ロイター/アフロ)
(つげ のり子:放送作家、皇室ライター)
彬子さまの「三笠宮家」継承は分家ではなく“分裂”に近い
自民党総裁選で、小泉進次郎氏有利の下馬評を覆し、高市早苗前経済安全保障担当相が見事、女性として初の総裁に就いた。国会で首相に選出されれば、日本の憲政史上初の女性総理大臣が誕生することになる。
これまで多くの女性政治家が挑戦しながらも越えられなかった「ガラスの天井」。高市氏の勝利は、それを打ち破る画期的な出来事となった。
一方で、自民党総裁選の報道が連日紙面を賑わせていた9月30日、皇室でも女性の地位に関するもう一つの大きな動きがあった。それは、将来の「女性宮家」創設の動きに一石を投じることになるのだろうか。
昨年(2024年)11月、三笠宮妃百合子さまが逝去されて以降、注目されてきたのが「三笠宮家の今後」だった。
そしてこの秋、宮内庁が発表したのは、彬子さまが「三笠宮家」を継承し、信子さまが新たに「三笠宮寛仁親王妃家」を創設するという前例のない決定であった。
三笠宮家の構成(図:共同通信社)
宮内庁の発表はあくまで「宮家の中で話し合われた結果」という簡潔なものだったが、その内実を読み解くと、皇室制度が抱える根本的な構造問題が浮かび上がってくる。
皇室解説者の山下晋司氏は、今回の措置を「分家」ではなく「分裂」と表現した方が良いのではないかと言う。
「宮内庁としては“話し合われた結果”としか言えず、『分家』や『分裂』といった表現はしないでしょうが、印象としては『分裂』です。ただ、信子妃殿下の新宮家の名称を『三笠宮寛仁親王妃家』としたところから、三笠宮家の分家であり、全く新しい宮家ではないことを示したいのかと思いました」
2018年1月2日、新年一般参賀に臨まれた三笠宮妃百合子さま、寛仁親王妃信子さま、長女彬子さま(写真:共同通信社)

