2025年4月6日、鈴鹿サーキットで行われたF1日本グランプリを観戦された三笠宮家の彬子さま(写真:Formula 1 via Getty Images/ゲッティ/共同通信イメージズ)

つげ のり子:放送作家、皇室ライター)

SNSでの情報発信、YouTubeチャンネルも開設した宮内庁

 かつて天皇が「現人神(あらひとがみ)」として崇められていた戦前の時代に比べ、現代では皇族方の動静や情報が広く公開されるようになった。これは、戦後「開かれた皇室」を目指して皇室全体が努力を重ねてきた証でもあるだろう。

 とはいえ、国民の多くにとって、皇室はいまだに「雲の上の存在」として、畏敬の念をもって仰がれる存在であるのが実情だ。そんな中、宮内庁も時代の変化に応じ、InstagramをはじめとするSNSでの情報発信を開始。最近ではYouTubeチャンネルも開設し、「もっと皇室について知りたい」という国民の声に、できる限り応えようとしている。

 こうした流れの中で、著書がベストセラーとなり、文化活動でも注目を集める彬子女王殿下(以下、彬子さま)が、ラジオ番組のメインパーソナリティを務められた。

 4月21日夜6時から、ニッポン放送で2時間にわたって放送された「彬子女王のオールナイトニッポンPremium」は、皇族による異例のパーソナリティ就任として、大きな話題を呼んだ。

 実は、皇族がラジオのパーソナリティを務めるのは極めて稀なことだが、ちょうど50年前、彬子さまの父・寬仁親王殿下も「オールナイトニッポン」に出演されたことがある。今回の出演には、そんな親子二代にわたるご縁も背景にあったという。

 彬子さまは、これまでもNHKの番組や「徹子の部屋」などに出演されており、ご自身が情熱を注がれている日本の伝統文化について、丁寧に語ってこられた。筆者が構成を担当したテレビ東京「皇室の窓」にもご出演いただいたことがあり、京都の街を歩きながら、雅な文化について穏やかに語られる姿が印象的だった。

 収録前には、赤坂御用地の三笠宮東邸を訪問し、事前の打ち合わせで彬子さまとお話しする機会を得た。打ち解けた雰囲気の中で、率直にお話をしてくださり、さらには厨房の料理人による手作りのケーキとお茶までご用意してくださったそのお心遣いは、今も心に残っている。

 そうしたご縁もあって、筆者も今回のラジオ放送をリアルタイムで聴取した。