日本でのBYDブランド各モデル。今年2月に神奈川県内で実施された、日本自動車輸入組合(JAIA)の試乗会にて(写真:筆者撮影)
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中国の経済状況の変化から最近、BYDの経営に対して様々な報道がある。一方で、日本の消費者としてBYDに対する関心事は、日本でのEVシフトがBYDの参入によって今後、どのように変わるのかという点だろう。こうした観点を重視しつつ、BYDオートジャパンが都内で7月7日、日本自動車ジャーナリスト協会向けに開催した勉強会に参加した。公開された資料から、日本でのBYDの行方を考える。

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

電動車比率の高い欧州と中国

 最初に、自動車市場全体での、各国の新車販売台数における電動車(EV・プラグインハイブリッド車)比率を見た。

 電動車の比率が高いのは北欧で、ノルウェーが92%と突出し、次いでスウェーデン(58%)、デンマーク(56%)、フィンランド(50%)と続く。欧州ではオランダ(48%)、ポルトガル(33%)、英国(28%)、スイス(28%)、フランス(24%)、そしてドイツ(19%)。

 欧州委員会による欧州グリーンディール政策が、各国の電動車施策を後押ししていることがわかる。欧州以外では、中国が48%と高く、日本はわずか2.8%にとどまっている状況だ。

 次に、中国市場に焦点を当てる。

 2024年の中国の自動車市場の全体需要は、乗用車が前年比5.8%増の2756万3000台、商用車が3.9%減の387万3000台、そして中国政府が力を入れている輸出が17.5%増の90万4000台。直近の2025年1〜5月期の乗用車の需要は、前年比14%増の1099万台だった。

 これをメーカー別で見ると、最も多いのがBYDで173.6万台、次いで吉利汽車(117.3万台)、奇瑞汽車(100.1万台)、長安汽車(71.2万台)、一汽大衆(58.9万台)、上海通用五菱(51.7万台)、上海大衆(39.9万台)、長城汽車(37.6万台)、上汽車乗用車(30.5万台)と中国の地場ブランドが上位を占める。

都内で開催された説明会で説明をするBYDオートジャパン代表取締役社長の東福寺厚樹氏(写真:筆者撮影)

中国で高まる新エネルギー車の需要

 では、中国で「新エネルギー車」と呼ばれる、EV(電動自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド車)の販売状況はどうか。

 単月での推移を見ると、過去2年ほどは内燃機関車と新エネルギー車の割合は、ほぼ50:50。直近5月では新エネルギー車の比率が52.7%だった。

 こうした中国での新エネルギー車の需要の高まりと、グローバルでのEV需要を下支えしているのが、中国のバッテリーメーカーだ。

 生産したバッテリーの電池容量で2024年の実績を比較すると、最も多いのが中国のCATLで37.9%、次いでBYDが17.2%、韓国のLGエネルギーソルーションが10.8%。日本のパナソニックは3.9%で、6位にとどまる。