大阪・関西万博で活用されている特別仕様の「ストリーモS01JT」が走行する様子(写真提供:モリタホールディングス)

ホンダの新事業創出プログラム「IGNITION」をきっかけに、同社から独立した立ち乗り三輪モビリティを開発するスタートアップの「ストリーモ」。最近では、大阪・関西万博で消防の巡回・警戒用車両としても活用されている。創業から4年、ストリーモの将来性を探る。

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 立ち乗り三輪モビリティを開発するスタートアップの「ストリーモ」は、ホンダの新事業創出プログラムをきっかけに、ホンダから独立したスタートアップだ。

 2023年7月1日に施行された「道路交通法の一部改正する法律」で新たに生まれた車両区分である「特定小型原動機付自転車」(特定原付)を適用したモデルをいち早く導入したメーカーとしても知られている。

 同社は12日、記者会見を開き、新たなカテゴリーへの参入を明らかにした。このほか、ストリーモを大阪・関西万博で消防の巡回警戒用車両として活用している消防分野大手のモリタホールディングスのプレゼンなどもあった。

ストリーモのメディア向けプレゼンテーションの様子(写真:筆者撮影)

 ストリーモの主力商品である特定原付「S01JTA」のメーカー希望小売価格は税込みで30万円。

 寸法は、全長1000mm×全幅500mm×全高1180mmで折りたためる。重量は24kgで、満充電での航続距離は約30km、満充電までの時間は約3.5時間だ。

 特徴は、同社が独自開発した「バランスアシストシステム」で、停車時でも倒れずに自立する。そのため、低速走行でもバランスを大きく崩すことなく走行できる。

 走行モードは、時速12kmと時速20km、また歩道走行の時速6kmという3つのモードが選択できる。

 S01JTAが発表された2023年前半は、多様なメーカーが特定原付の量産を発表し、新たなサービスや事業を開始した。

 日本で新たな車両区分が生まれることは稀であり、これをビジネスチャンスと捉えた事業者が多かったが、そのほとんどは、前後1輪のいわゆる電動キックボードの形状だった。

 そうした中、S01JTAは前1輪・後2輪で、停止状態でも倒れない。この斬新な発想を打ち出したストリーモに対して、メディアやユーザーの注目が集まった。