ホンダと日産は再び経営統合に向けて動き出すのか(写真:共同通信社)
2024年末に日産自動車とホンダが経営統合検討の覚書を結んだものの、協議は頓挫。それから約1年、自動車業界はアメリカのパリ協定離脱手続きの進展や関税強化で電動化・調達環境が揺れ、レベル4自動運転や電動プラットフォーム、AI開発の競争も加速する。そんな環境下で迎えた2026年、両社の再統合は起こり得るのか。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏がレポートする。
短期で崩れた「覚書」、両社は加速する開発競争に追い付けるか
日産自動車とホンダが経営統合の検討に関する覚書の締結を発表したのは2024年末のことだった。日本の自動車産業史上最大の再編劇かと世間はにわかに沸き立ったが、協議は最初から難航し、3カ月も経たないうちに覚書は解約。統合話は「大山鳴動してネズミ一匹」の幻に終わった。
2025年2月、ホンダとの経営統合破談で記者会見する日産自動車の内田誠前社長(写真:共同通信社)
それから約1年が経った今日、両社の状況や取り巻く環境は大きく変わった。アメリカのパリ協定離脱は世界のクルマの電動化に大規模な地殻変動を引き起こし、自動車メーカー各社は大なり小なり戦略転換を余儀なくされた。
トランプ関税は直接的な影響のみならず、レアアースなどの資源や半導体などの部品を巡る“貿易戦争”を激化させ、インフレ傾向とのダブルパンチで自動車産業の収益を圧迫している。こうした外部環境の変化は、調達コストや投資判断の不確実性を高めている。
一方で技術開発競争は激化の一途をたどっている。自動運転はドライバーレスでどこへでも自由に行ける「レベル5」こそ夢のまた夢だが、その下の限定的自動運転「レベル4」については実用化のチャレンジが急ピッチで進んでおり、技術革新が続々登場している。
CO2削減の分野でも電動車用のバッテリーや充電技術は無論のこと、レガシーデバイスになるとみられていた内燃機関の熱効率についても中国勢が従来の40%強をはるかに超える46~48%という高いステージで覇を競うなど、競争激化はとどまるところを知らない。
ホンダと日産が2024年3月に広範な技術提携に踏み切ると発表した際、日産の内田誠前社長は「今のままでは新興勢力の圧倒的スピード感と価格競争力に太刀打ちできない」と発言していた。今の状況はその言葉がそのまま現実のものになったというところだろう。
2024年3月15日、自動車の知能化・電動化時代に向けた戦略的パートナーシップに関する覚書を締結したホンダの三部敏宏社長と日産の内田誠社長(当時)。ここから両社の協業話は進んでいったが…(写真:共同通信社)
年単位どころか月単位で状況が進展する今日において、昨年経営統合に失敗して時間を浪費したことは、ホンダ、日産のどちらにとっても不幸なことだった。すでに両社が統合してもモビリティ革命のリード役に返り咲ける可能性は低くなってしまっているが、今のままではその機会も失われてしまう。
果たして今年、両社が再び経営統合に挑戦することになるのか。もし再チャレンジするとして、それを成し遂げるには何が必要なのか。
