写真提供:共同通信社
半導体不足の影響により、2025年下期は減産が続くホンダと日産。2024年12月の経営統合発表から、わずか2カ月で物別れとなった両社だが、中国EVメーカーの猛攻やトランプ関税など逆風吹き荒れる中、「協議を白紙に戻している場合ではない」との声も上がる。
日本経済新聞の専門記者が、2026年のビジネスで押さえておきたいポイントを予測する『これからの日本の論点2026 日経大予測』(日本経済新聞社編/日経BP 日本経済新聞出版)から一部を抜粋・再編集。トヨタでさえ、電動化、SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)、自動運転といった新領域への対応に全方位で挑む中、国内メーカーが生き残るには何が必要なのか。
日産とホンダの経営統合白紙に
『これからの日本の論点2026』(日経BP 日本経済新聞出版)
両社のトップが経営統合を発表したのは2024年12月だった。そこからわずか2カ月で協議を白紙に戻すことになったが、物別れの後は両社とも精彩を欠いている。
経営不振が続く日産は世界各国で工場や人を減らすリストラ計画の真っ只中にある。ホンダはその点、盤石そうにも見えているが、二輪車が好調な一方、肝心要の四輪車が低迷しているのはよく知られている。
「ホンダの方がこれからは大変」と言う人もいる。世界での販売台数が23年の411万台から24年に371万台に減り、25年も362万台に減少する見通しを発表している。新興電気自動車(EV)メーカーが台頭する中国での不振が特に目立つ。
そして米国だ。トランプ大統領になって、25年春まで2.5%だった輸入関税が15%と6倍に跳ね上がった。これは日産も同じで、共通した「構造的逆風」と呼ぶべき変化が、世界で8位、9位に低迷している両社には襲いかかっている。
迷っている余裕はないだろう。あるいは、両社のトップ間ではもう認識の擦り合わせが始まっている可能性もある。中長期での憂いを払拭し、新しい成長局面を呼び込む方策としては、経営統合を改めて模索しつつ、規模を確保していくのが理にかなう。焼け木杭(ぼっくい)には火がつきやすいというが、復縁に向けてにわかに動き出す可能性は高いのではないか。







