開業したテーマパーク「ジャングリア沖縄」に入場する人たち
写真提供:共同通信社

 東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどで入園料の値上げが相次いでいる。コスト増だけでなく、各施設の価格戦略も値上げの背景にある。2025年に開業したジャングリア沖縄は、国内在住者と訪日客で入園料に差をつける「二重価格」を導入した。

 日本経済新聞の専門記者が、2026年のビジネスで押さえておきたいポイントを予測する『これからの日本の論点2026 日経大予測』(日本経済新聞社編/日経BP 日本経済新聞出版)から一部を抜粋・再編集。オーバーツーリズムが叫ばれる国内観光産業において、テーマパークが直面する持続可能性を考える。

問われる持続可能性

これからの日本の論点2026 日経大予測』(日経BP 日本経済新聞出版)

 東京ディズニーランド開業から40年余り。テーマパークは国民的なレジャーとなり、余暇を彩る文化として日本に根付いた。アニメやキャラクター人気の高まりや、その時その場でしか楽しめないトキ消費の盛り上がり。

 加えて、将来への不安から現実逃避を求める心理的ニーズへの高まりが、テーマパークの存在価値を高めている。だが、同時に新たな課題も浮かび上がってきた。料金の値上げと混雑である。

 経済産業省の特定サービス産業動態統計調査によれば、2024年の遊園地・テーマパークの売上高は8926億円で過去最高を記録した。入場者数は7300万人とコロナ禍以前の水準には届かないものの、1人当たりの消費額は約1万2000円と2019年比で3割以上増えている。

 コロナ禍で入場制限を経験した施設は多くの人を詰め込んで稼ぐのではなく、1人当たりの単価を高めて、より満足度の高い体験を提供する方向にかじを切ったのだ。つまり、「量」より「質」への転換が全体的に進んでいる。