安心感が高まり、走ることが楽しくなる

 クルマの走行性能を評価する際、NVH(音:ノイズ、振動:バイブレーション、H:ハーシュネス=路面からの突き上げ)の3要素が重要視されるが、特にハーシュネスへの対応がとても良いことに驚いた。

 NVHへの対応がしっかりしていることで、ハンドリングも良さも引き立ち、安心感が高まると同時に走ることがとても楽しくなる。

都内で開催された新型「ムーヴ」、報道陣向け試乗会にて(写真:筆者撮影)

 また、Aピラー(フロントガラスの左右にある柱)の間にガラスを採用したことで、運転席からの見切りが良くなり、そしてシートの表皮やクッション性にこだわったことも、「走りが良いクルマ」という印象を高めている要因だ。

新型ムーヴはホンダ「N-BOX」に追いついたのか?

 こうした走りの良さという観点ではこの数年、特にNVHへの対応について、ホンダ「N-BOX」を中心とするホンダNシリーズが、他社モデルを一歩も二歩もリードした。その理由について、自動車業界ではNシリーズの原価が高いというのが定説とされている。実際、ホンダやライバル各社、それぞれの軽自動車の開発関係者と意見交換すると、そうした点を指摘することがある。

 あくまでも私見だが、ダイハツのモノづくり思想のひとつである「良品廉価」では、原価がN-BOXよりは低くなるため、N-BOXのような走りの良さは、ダイハツでは実現できないのかと思うこともあった。

 そうした不安が今回、新型ムーヴに乗って吹き飛んだ。