緩やかに減少している世界の輸出数量に占める日本のシェア

<名目輸出は増加も価格面が中心、数量面では伸び悩み>
 次に、輸出額の動向を振り返ってみる。

 名目輸出は2020年にコロナ禍の影響で落ち込んだ後、増加が続いている。名目輸出の前年比変化率は、2020年が▲11.1%、2021年が+21.5%、2022年が+18.2%、2023年が+2.7%、2024年が+6.2%だ。2023年以降、輸入額が頭打ちとなる中で、輸出額の増加が続き、貿易赤字の縮小につながっている。

 ただ、近年の輸出増加は、価格面による押し上げが強く、数量面でみれば伸び悩んでいる。

 実質輸出は、2020年にコロナ禍後の生産活動縮小で前年比▲7.5%と減少後、2021年に生産活動再開で+12.7%と大きく増加。だが、2022年は+1.1%、2023年は▲1.3%、2024年は+0.1%と小動きだ。オランダ経済政策分析局(CPB)のデータで日本からの輸出数量をみても、2022年+1.1%、2023年▲1.4%、2024年+0.3%だ。

 世界の輸出が回復している割には、日本の輸出は伸び悩んでいる。CPBデータにもとづけば、世界全体の輸出数量の前年比変化率は、2022年に+2.8%、2023年に▲0.5%、2024年に+2.5%と推移。世界の輸出数量に占める日本のシェアは、緩やかながら低下傾向にある。

 近年の輸出伸び悩みは、日本から海外への製造拠点移転の影響もあろうが、後述する内訳動向を踏まえると、日本国内における供給制約の影響もあると考えられる。