
(宮前 耕也:SMBC日興証券 日本担当シニアエコノミスト)
今は嵐の前の静けさか?
第二次石破政権が少数与党で発足してから半年が経過した。
昨年12月16日の拙稿「【2025年の政治展望】石破政権はどこまで持つのか?来春以降にあり得る2つのリスクシナリオ」では、今年春頃に「石破おろし」が生じて退陣となるリスクシナリオを指摘しつつも、夏の参院選までの政権継続をメインシナリオに位置づけた。
実際、商品券配布問題を機に非主流派の一部から「石破おろし」の動きが生じたが、結局は落ち着いた。背景としては、内閣支持率が低下する中でも、自民党主流派が非主流派の総理総裁誕生を望まず、首相続投で結束が乱れなかったことが挙げられる。
少数与党の状況下、予算案を年度内に通過させることができるか否かも試金石であったが、石破政権は協力相手を国民民主党から日本維新の会に切り替えて乗り切った格好だ。
政治日程を考えれば、石破政権にとっては6月が正念場となりそうだ。現在は嵐の前の静けさといえるかもしれない。
自民、公明の両与党は参院選前に経済対策を策定することで合意しており、党公約や骨太方針にも反映される。自民党は消費減税の扱いをどうするか、最終決定する必要がある。
6月22日には、参院選の前哨戦となる東京都議選が実施されるほか、同日に通常国会が会期末を迎える。会期末を控えて、石破政権が積極的に衆院解散を打ち出す可能性は低いものの、内閣不信任決議案可決を経て消極的に衆院解散を選択し、衆参ダブル選挙となる可能性はあり得る。
衆院解散の有無はともかくとして、7月には参院選の本番を迎える。昨年の自民党総裁選および衆院選では、政治資金問題が主要なテーマであったが、今年の参院選では経済政策がテーマとなりそうだ。
争点化しつつある消費減税の扱いのほか、コメなど食料価格高騰への対処、米国との関税交渉が注目される。
現在の支持率動向を踏まえれば、与党の苦戦が予想されるが、野党では候補者一本化など選挙協力が部分的にしか進んでいない。勝敗ラインが低めに位置付けられていることもあり、与党が勝利できるか否かまだ不透明な情勢だ。
そして参院選後、与党が敗北する場合のみならず、過半数を維持して勝利する場合でも、連立政権の組み替えなど何らかの政界再編が生じやすいと予想する。その場合、日本維新の会の動向が再編の引き金となるだろう。経済政策は、政界再編を経てどの党が協力するかの組み合わせ次第で大きく異なってくる。