与党過半数割れでも続投の可能性がある石破首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
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(宮前 耕也:SMBC日興証券 日本担当シニアエコノミスト)

<衆参ダブル見送りのインプリケーション>
 6月22日に通常国会が閉会した。5月時点では、野党の内閣不信任案提出を契機に、石破首相が衆院解散に踏み切って衆参ダブル選挙に至る可能性があるとみていたが、結局、そうはならなかった。後講釈になるが、与党はダブル選勝利の確信を持てず、野党は衆院選の候補者確保の時間的余裕がなく、お互い参院選に専念することを望んだ格好だ。

 後述するように、衆参ダブル選挙の見送りにより、政局面と経済政策面に影響が出るだろう。政局面では、意外に思われるかもしれないが、参院選の勝敗にかかわらず、石破政権が少数与党のまま継続する可能性が高まっている。

 経済政策面では、衆院で少数与党のままであれば、与野党が協力しなければ何も進まない。物価高対策として現金給付と消費減税のどちらを選択するのかが参院選の主要な争点となる見込みで、参院選の結果次第で、どちらかが推進されることになりそうだ。

 いずれにせよ、通常国会が閉会したことで、公職選挙法の規定に基づき、参院選は7月3日公示、7月20日投開票の日程で実施される。

<東京都議選のインプリケーション>
 6月22日には東京都議選の投開票も実施された。都議選では定数127のうち、都民ファーストの会の議席数が告示前の26から31に増加、第一会派に返り咲いた。国民民主党は、このところ支持率が低下しているが、都議選で初の、かつ一気に9議席を獲得、躍進した。

 一方、自民党は敗北した。自民党の議席数は告示前の30から21に減少。2017年の23議席を下回り、過去最低を記録した。1人区の多くで議席を失うのみならず、複数区ですら議席を失うケースも出るなど、自民党にとって厳しい結果だった。

 このところ備蓄米放出の効果などもあり、自民党は参院選で善戦するとの見方が広がっていたが、やはり苦戦するとの見方が強まりそうだ。

 もっと早いタイミングの東京都議選であれば、与党内の政局や、選挙公約の見直しにつながり得た。だが、参院選へ向けて既に号砲が鳴った状態であり、都議選の敗北を受けても、石破政権は消費減税見送りで参院選に臨むことになろう。