「希望はあるが、不安はない」と語り見事なデビューを飾った野茂
5月2日、サンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地キャンドルスティック・パーク。1回表、ドジャースの攻撃が無得点に終わり、背番号16番のユニフォームに袖を通した野茂がゆっくりとマウンドに向かった。
渡米前、メジャー挑戦について「希望はあるが、不安はない」と語っていた野茂がメジャーの舞台で初めて対戦するのはジャイアンツの1番中堅手ダレン・ルイス。1994年にゴールドグラブを初受賞した名手ルイスから、メジャー初奪三振を記録。
続く2番二塁手ベテランのロビー・トンプソンは一塁フライ。3番左翼手バリー・ボンズに対しては、3ボール2ストライクからの6球目を選ばれて四球を与え、4番三塁手マット・ウィリアムス、5番右翼手グレナレン・ヒルにも連続与四球で2死満塁の大ピンチ。
しかし、迎えた6番遊撃手ロイス・クレイトンを2ボール2ストライクから伝家の宝刀フォークで三振に斬って取る。
これが1964年9月1日、ニューヨーク・メッツの本拠地シェイ・スタジアムでサンフランシスコ・ジャイアンツの一員としてMLBデビューを飾った村上雅則、通称マッシー・村上以来となる日本人メジャーリーガーが誕生した瞬間だった。
その後、野茂は5回を投げ、奪三振7、与四球4。打たれた安打は3回裏にトンプソンに打たれた二塁打の1本のみという見事なデビューを飾る(勝敗はつかず)。
しかし続く登板となった5月7日、コロラド・ロッキーズの本拠地クアーズ・フィールドでのデビュー2戦目は3番右翼手ラリー・ウォーカー、5番左翼手ダンテ・ビシェットにそれぞれ本塁打を打たれるなど7失点の大炎上。ただ、試合は12対10でドジャースが勝利したために負けは付かなかった。
以降もデビュー4先発目となった5月17日、本拠地でのピッツバーグ・パイレーツ戦で7回14奪三振を記録するなど好投を続けた野茂だが、デビュー月となった5月は6先発、0勝1敗、防御率3.82でMLB初勝利は記録できず。