反投資ファンド感情は困る

 3月16日に「金秉奏会長は困難が予想される小規模の取引先に決済代金を迅速に支給できるように財政支援する用意があります」とのコメントを出し、「私財供出」を公言した。

 韓国の産業界でも「私財供出」には首をかしげる向きがある。

 ホームプラスとも取引がある大企業の役員は「法的な問題が出てきたことや、国会での追及が始まったから私財を出すと言っているようにも聞こえるが、そうだとしたらおかしい」と話す。

 企業統治に詳しい大学教授は「金秉奏会長は大金持ちなんだから金を出せと言っているようだ。韓国ではよくある話だが、釈然としない」と言う。

 さらに「私財供出というが、いつ、いくら、どういう名目で出すのか。具体的な説明が全くない」といぶかる。

 韓国メディアは、ホームプラスの正常化のためには1兆ウォン以上の資金が必要だとも報じている。

 まさかこれだけの規模を「私財供出」で賄うとは思えないが、一度「出します」と言ったからには、どこまで要求が出てくるのかも未知数だ。

 一方、韓国紙デスクは一連の問題を別の視点で見ている。

「ホームプラスは従業員数も取引先企業数も多い。クーパンの大躍進という構造変化はあっても、この会社がさらにおかしくなったらただでさえ厳しい今年の韓国経済に深刻な影響を与える」

 経済閣僚経験者はこう話す。

「韓国経済は構造的な低成長に入った。半導体、石油化学、鉄鋼など主力産業にも陰りが見える」

「財閥も大胆な事業再構築が待ったなしだ。投資ファンドの役割もさらに需要になる中で、国民の間で投資ファンドに対する反感が出るのは避けたい」

 ホームプラスの経営問題は、単なる流通再編劇の話ではないのだ。