米国のジャーナリズムの現場で何が起きている?
──米国のジャーナリストの間では、今どんな空気が漂っているのでしょうか?(日本語の)「忖度」という言葉をご存知かと思いますが、米政権を恐れるあまり「米国版忖度」が盛んになると思いますか、それとも米国のジャーナリズム魂は、今も燃え続けているのでしょうか?
ハーマン氏:ジャーナリスト魂の炎はまだ燃えていますが、米国のメディアは非常に多様です。 今はSNSのおかげで小さな声がすぐに目立つようになり、影響力を持つことがあります。その小さな声は非常に質の高いものもあれば、正しくないものもあります。前政権同様、現政権の応援団とみなされる主要メディアも数多くあります。
もはや、何が主流メディアで、何が公正で、何が中立で、何が偏向しているかといった定義すら、私たちは合意することさえできない状況にあります。本当に残念なことです。
私は日々精一杯自分の仕事をしようとしてきました。私自身と私の所属先の基準を満たす報道をしてきました。SNS上のフィードで、これが好きだあれが嫌だという投稿をいつも見ています。
この数週間、私は(SNSで)殺害予告も受けました。SNSは匿名の人物に力を与えています。それは時には良いことです。抑圧された社会や独裁国家にいる人々にとって、身元が特定されることを心配せずに実際に起きている事を話したり、意見を述べたりできるからです。しかし、どんなに優れた強力なツールでも、悪いことにも使われる可能性があります。
──何をしたからと言って殺害予告を受けているのですか?
ハーマン氏:するべき仕事をしているためでしょう。そして人々が(私に向けられた)批判を信じているからでしょう。彼らの言い分を繰り返すつもりはありませんが、それは多くのジャーナリストにとって、かなり一般的なことになっています。
──VOA がプロパガンダ組織のようなものだというトランプ政権や支持者からの主張には、どう答えますか?
ハーマン氏:定義上、VOA はプロパガンダの道具にはなり得ません。ただし、各国の極右派の中には、VOA はプロパガンダだと言う人もいるでしょう。現在、ロシアと中国の国営メディアではVOA の閉鎖に歓喜の声が上がっています。なぜそんなに喜んでいるのかを問う必要があります。
VOA がプロパガンダだかもしれないと信じている人には記事を読んで欲しいです。あと何日上がっているかわかりませんが、YouTube にはVOAのテレビ向けストーリーのアーカイブがあるので、私たちが制作してきたものがプロパガンダに当たるかどうかを確認し、世界の他の主要国の国営放送局と比較してほしいです。