それでも「石破おろし」が広がらないワケ

 では、今後の政局はどうなるのか。自民党内で「石破おろし」が進み、野党からも内閣不信任案提出の動きが出てくる。そんな単純な話にならないのがこの国の政界のいやらしさである。

 自民党内の一部には「石破首相では夏の参院選を戦えない」として石破おろしを加速させるムードもあるというが、「少数与党政権でシャッポを変えたら、自民党は下野する可能性があるから、絶対に石破おろしは広がらない」という見方の方が強い。

 では野党はどうかというと、こちらも単純ではない。参院予算委で商品券問題を追及するのは間違いないが、早い時期に全野党が一致して内閣不信任案提出という行動をとるかどうかは別問題だ。

「今後の政局では、参院選だけでなくダブル選挙や破れかぶれ解散の可能性も考えられる中、野党のホンネは、弱い首相、政権のままがいい。つまり支持率がどんどん下がり、国民から見放された石破政権を相手にした選挙に持ち込むことが一番だと思っています。タヌキとキツネの駆け引きが続きそうですね」(前出の永田町関係者)

 永田町界隈では「令和7年度予算の成立と引き換えに石破内閣は総辞職すべき」との指摘も出ているが、5回目の挑戦でようやく総理の座をつかんだ石破首相が、就任半年でその座を簡単に手放すとは到底思えない。

 そんな潔さがあるのなら、政権維持のための露骨なまでの維新との癒着行動は見せなかっただろう。政権にしがみつく首相の処遇に悩み、政局の動向にばかりうつつをぬかす与野党の政治家たちの姿が思い浮かんできそうだ。これが日本の民主主義の実力であり、限界なのだろう。