財源や食材確保などの運用面で課題も多い学校給食の無償化財源や食材確保などの運用面で課題も多い学校給食の無償化(写真:norikko/Shutterstock.com)

 学校給食の無償化について、自民・公明・維新が2月25日に合意し、2026年度からまずは小学校で開始するという。中学校でもできるだけ速やかに始めるとしている。学校給食無償化の目的について、学校給食法では「適切な栄養摂取による児童生徒の心身の健全な発達や、給食を通じた食に関する理解や判断力の育成」という目的・目標を掲げている。この理念に異論はないが、問題は財源や食材確保などの運用面である。ジャーナリストの山田稔氏がレポートする。

子どもや親にとってもありがたい存在の「学校給食」だが…

「私は昭和30年代から40年代に学校給食だったが、はっきり言って、なかなかすごくおいしかったという記憶がございません。パンと脱脂粉乳とラーメンという不思議なメニューが出てきたこともあり、その後すごい改善が進んで、今は給食っておいしいねという子どもたちが増えてきた」

 3党合意の翌日の衆院予算委員会での石破茂首相の答弁である。石破首相より少し後に生まれたほぼ同世代の筆者にとっても、小学校時代の給食で一番印象に残っているのが脱脂粉乳である。

 アルマイトのカップに盛られた脱脂粉乳(たまにココア風味の時もあった)は、1969(昭和44)年に廃止されるまで続いた。この脱脂粉乳はもとはと言えば、終戦後の食糧難を受けてアメリカの民間支援団体やユニセフが支援物資として送ってくれた食料の一部だった。

 飲むと唇に薄い膜が付いた脱脂粉乳の味は、どうにも受け付けず、毎回残していた記憶がある。ちなみにパンはコッペパン。石破首相の言うラーメンは袋入りのゆでたソフト麺のことだろうか。懐かしいが、今となっては再び食べたいとは思わない食材ばかりである。

 それでも1学級40人余りの児童が同じ食べ物を平等に食べることができた学校給食は、子どもたちにとっては家庭では出てこないメニューがあったりして楽しい時間だった。朝、弁当を作らずに済んだ親たちにとっては実にありがたい存在だった。もちろん有償ではあったが、それに異を唱える向きはなかったと思う。