写真はイメージです(出所:写真AC)

(川島 博之:ベトナム・ビングループ Martial Research & Management 主席経済顧問、元東京大学大学院農学生命科学研究科准教授)

 米価格が高騰している。スーパーなどの店頭において2023年には5kgが2500円前後だったが、2024年の夏頃から4000円前後になった。ブランド米は5000円程度にまで値上がりしている。ここに来て政府は備蓄米を21万トン放出し、かつ輸入量を年間2万トン増やすと言い出したが、半年遅いと批判を浴びている。

 高騰の原因ははっきりしない。2024年夏に米の不足が伝えられたが、実際には不足していなかった。そして秋の収穫量は平年並みだった。

 多くの場合に食糧価格の急激な上昇は噂の拡散によって生じる。食糧は生命に関わるために、人々はその不足に敏感に反応する。日本人は特に米不足に敏感である。

 この件に関してここ50年ほど繰り返し語られていたことが、また蒸し返して語られている。ここでは米の歴史を振り返ることから、この問題を考えてみたい。