(写真:アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 中国を抜いて、人口が世界一になったインド。

 国連人口基金によると、今年半ばにはインドの人口は14億2860人、中国は14億2570人と、インドが約290万人上回ると推計される。

 インドの食文化は特異でもある。伝統的に主食が2つあるからだ。コメとナンに焼いて食べる小麦だ。そのインドの動向によって、世界が食料危機に見舞われる脅威が浮かんできた。

インドがコメ輸出を禁止した途端、貧困国で食料危機に

 インドは世界最大のコメの輸出国で、世界全体の4割を占める。22〜23年度の輸出量は2250万トンだった。それも第2位のタイの850万トンとは大きな開きがある。

 ところがインドは、7月20日から高級種を除いてコメの輸出を禁止してしまった。輸出の増加で国内のコメの価格が高騰していることから、「価格引き下げと国内市場での供給確保」を理由としている。自国の事情を優先した。

 たちまちインドに次ぐ輸出国のタイやベトナムの輸出価格も急騰。食料価格が上がることで、食料を輸入に頼る貧困国では、食料が買えない危機に直面する。