先月末から今月初めにかけて、中国の首都・北京と、その周辺の河北省を、記録が残っているこの140年で最大の豪雨が襲った。豪雨の被災者は中国全土で300万人に上り、さらに増えるとの予測もある。
そんな中、8月1日夜、多くの中国人が「鉄のバラ」(女子ワールドカップ中国代表チームの愛称)の雄姿にくぎ付けとなったが、試合が進むにつれ、涙とため息に変わった。「鉄のバラ」は、イングランドに1対6という「歴史的大敗」を喫したからだ。私もダイジェストで観たが、両チームの実力差は明白だった。
かつては「アジア最強」、なでしこも仰ぎ見ていた中国女子代表
中国は、7月22日の初戦のデンマーク戦を0対1で落とした。だが2戦目のハイチ戦は、逆に1対0と辛勝。そのため、イングランド戦に勝利すれば、ベスト16に進めるチャンスがあった。
「鉄のバラ」の歴史は、栄光に包まれている。中国が改革開放の時代になって、1986年から女子アジアカップに参加し始めたが、いきなり7連覇を達成。1995年には、南シナ海の領有権問題で揉める憎きフィリピンを、21対0で叩きのめしたこともあった。
女子ワールドカップにも、1991年の第1回大会から参加し、ベスト8。1995年の第2回大会でベスト4入りし、1999年の第3回大会では準優勝した。今世紀初頭までは、「なでしこジャパン」は、「鉄のバラ」を、遠く仰ぎ見ながら目標にしてきたのだ。
「鉄のバラ」は、その後はベスト8が続き、2019年の第8回大会ではベスト16で敗退した。そしてついに今回、グループリーグ敗退という「初の屈辱」を喫してしまったのだ。