植木理子がドリブルで持ち上がると、右サイドから驚異的なスピードで走り込んだ宮澤ひなたはそのいきおいのまま植木のパスを受け取り、右足でゴールに蹴り込んだ。このゴールで3-0とスペインを突き放した(写真:ロイター/アフロ)

「スペイン優位」の予想を覆す

 7月31日、W杯女子サッカーグループリーグCの最終戦で、なでしこは同じ勝ち点で並ぶスペインと対戦した。

 2戦目のコスタリカ戦では先発メンバーを第1戦時から4人も代えて驚かれたなでしこジャパン。このとき池田太監督は「誰が出ても力量はありますから」と試合後のインタビューに涼しい顔で答えていたが、このスペイン戦ではその第2戦から実に5人も代えてきた。

 エース長谷川唯もメンバーに入っておらず、先発メンバー発表時にはネット上で「長谷川が入っていなくてなでしこは大丈夫か?」という書き込みもあったほどだ。

 その心配が的中したかのように、試合序盤はスペインに押し込まれる形で進んだ。ところが前半12分、キャプテンDFの熊谷紗希から遠藤純へのパスが繋がると、遠藤からのアシストに反応してゴールに向かっていた植木理子と宮澤ひなたが走り込む。結局宮澤にボールが通り、それを受けた宮澤が冷静にGK脇を狙って先制点を挙げた。少ないチャンスをものにした貴重な先制点となった。

 ただこれは快進撃の序章に過ぎなかった。前半29分には、FW初先発に起用された植木がトップでボールを収めると、ペナルティエリアでシュート。相手DFの足に当たったボールが高く上がってゴールというラッキーもあったが、これで2-0。

スペイン戦で植木理子が右足を力強く振りぬくと、相手DFの足に当たったボールは強いバウンドでゴールキーパーの頭上を越えてネットに吹いこまれた(写真:アフロ)